情報の確認
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冷凍の食品をお取り寄せするとき、「クール便で届くから大丈夫」と考えがちです。ただ、クール便の温度帯は運送会社ごとに違いました。各社の公式ページを確認した結果です。
そしてもう1つ、意外に知られていないことがあります。クール便には、荷物を冷やす機能がありません。
ヤマト運輸の公式ページには、次のように書かれています。
保冷輸送(温度を保つ)サービスです。お荷物を冷やしたり凍らせたりする冷却機能はありません。
だから「預ける前に冷やしておくこと」が条件になっています。ヤマト運輸は冷蔵で「10℃以下で6時間以上」、冷凍で「−15℃以下で12時間以上」。佐川急便は冷蔵で「8℃以下で6時間以上」、冷凍で「−18℃以下で12時間以上」と公表しています。
ここから、お取り寄せする側にとって大事なことが1つ見えます。お店が商品を十分に冷やしてから発送しているかどうかで、届いたときの状態が変わります。
ヤマト運輸の公式ページには、アイスクリームを取り扱わない理由として、「クール宅急便の冷凍タイプが提供する温度帯より低温での管理が必要なため」と書かれています。
アイスクリームのお取り寄せに専用の便やドライアイスが使われるのは、このためです。温度帯は「冷凍かどうか」ではなく「何℃か」で決まります。
冷凍食品といえば−18℃。よく聞く数字ですが、日本の法令が定めているのは−15℃以下です。
食品衛生法にもとづく規格基準(食品、添加物等の規格基準・昭和34年厚生省告示第370号)には、こう書かれています。
冷凍食品は、これを-15°以下で保存しなければならない
では−18℃はどこから来たのか。一般社団法人日本冷凍食品協会は、次のように説明しています。
Codex(コーデックス)の「急速冷凍食品の加工及び取扱いに関する国際的実施規範(CAC/RCP 8-1976)」において、急速冷凍食品は-18℃以下で保存されていることを規定しています。
つまり−18℃は、法令の義務ではなく、国際規範にならって業界がより厳しく設定している基準です。この違いを知っておくと、先ほどのクール便の表(ヤマトは−15℃、佐川は−18℃以下)の意味が見えてきます。どちらも法令は満たしています。
冷蔵庫の冷凍室に★のマークが付いているのを見たことがあるかもしれません。あれは飾りではなく、規格にもとづく表示です。
家電メーカー各社の公式ページには、日本産業規格 JIS C 9607 に規定された試験条件で試験したときの冷凍負荷温度(食品温度)による区分である、と説明されています。★の数が多いほど低い温度を保てる、という意味です。
市販の冷凍食品が想定している−18℃を保てるのは、★★★以上ということになります。お手持ちの冷蔵庫の冷凍室に何個★が付いているか、一度ご確認ください。
メーカーの公式ページには、次の注記があります。
ホームフリージングした食品の貯蔵期間は、表中の冷凍食品の貯蔵期間の目安より短くなります。1〜4週間以内にお召し上がりください
市販の冷凍食品は、専用の設備で急速に凍らせて、密封して作られています。家庭でラップに包んで冷凍したものとは、条件が違います。
買ってきた冷凍食品についても、農林水産省は次のように書いています。
家庭の冷凍庫は開閉が頻繁で温度変化が起きやすいので、2〜3ヶ月で使い切りましょう。
同じページには、−18℃以下で温度変化を少なく保存した場合はおおむね8〜24か月品質が保たれる、という記載もあります。数字が大きく違うのは、家庭の冷凍庫が「開け閉めされる」からです。
「凍らせれば時間が止まる」わけではありません。凍らせ方と保存の仕方で、味が変わります。
農林水産省の広報誌には、次のように書かれています。
食品を凍らせた場合、-1度程度から凍り始めて-5度でほぼ凍結します
この温度帯を急速(ほぼ30分以内)に通過させ、組織の損傷を極力少なくする凍結方法が、急速凍結と説明されています。ゆっくり凍らせると氷の粒が大きく育ち、食品の細胞を壊してしまいます。
解凍したときに出てくる水分について、農林水産省は「アミノ酸などのうま味成分を含んだ『ドリップ』と呼ばれるもの」と説明しています。細胞が壊れていると、そこからうま味成分や栄養成分が流れ出てしまいます。
農林水産省の広報誌には、こうあります。
霜がつくのは食品中の水分が表面に出てきたからです。食品自体は乾燥して、水分が出たぶん品質が落ちます
同省は、品質が損なわれている可能性がある状態として、次の5つを挙げています。
ここは、味の話ではなく安全の話です。農林水産省は次のように書いています。
解凍は「常温(自然解凍)で」と書かれた物以外は、電子レンジや流水などを使って素早く行いましょう。解凍に時間がかかると、食中毒菌が増える可能性があります。
朝に出して夜に食べる、という解凍のしかたは、パッケージに「自然解凍」と書かれている商品以外では避けたほうがよいということになります。
食品の種類ごとの目安も示されています。
| 食品 | 農林水産省の記載 |
|---|---|
| 肉類・魚介類 | 外はやわらかくて中は凍っている「半解凍」が基本。半解凍状態になったら、すぐに調理 |
| 冷凍野菜 | ほとんどはブランチングという加熱処理がしてあるため、凍ったまま調理ができます |
| 果実 | 涼しいところで自然解凍 |
農林水産省は、次のように書いています。
一度溶けた冷凍食品を再凍結しないようにしましょう。品質が損なわれている可能性があります
溶けたものを再冷凍するとさらに品質が落ちるので、使うぶんだけ解凍しましょう
大きな塊で届いたものは、届いた日のうちに小分けにして冷凍しておくと、あとで必要な分だけ解凍できます。お取り寄せの実務としては、これがいちばん効きます。
冷凍食品には、他の食品にはない表示事項があります。食品表示基準の別表第19で定められているもので、次の2つです。
そのまま食べられるものを「無加熱摂取冷凍食品」、加熱が必要なものを「加熱後摂取冷凍食品」と呼びます。
この区分は、見た目の話ではありません。成分規格そのものが違います。
| 区分 | 成分規格 |
|---|---|
| 無加熱摂取冷凍食品 | 細菌数(生菌数)が検体1gにつき100,000以下で、かつ、大腸菌群が陰性 |
| 加熱後摂取冷凍食品(凍結直前加熱) | 細菌数(生菌数)が検体1gにつき100,000以下で、かつ、大腸菌群が陰性 |
| 加熱後摂取冷凍食品(凍結直前未加熱) | 細菌数(生菌数)が検体1gにつき3,000,000以下で、かつ、E.coliが陰性 |
「加熱してお召し上がりください」と書かれているものを、そのまま食べないでください。基準が異なります。
警視庁は、災害時の暮らしの知恵として次を紹介しています。
冷凍庫にあるものを冷蔵庫の上の段に移動して、冷蔵庫の下の段に冷やしたい食品を移せば、その冷気で下の段の食品をしばらく保冷することができます。
長時間の停電があったあとの扱いについて、千葉県は次のように呼びかけています。
安全性に不安がある場合には、消費・賞味期限内であっても速やかに廃棄し、食べないようにして下さい。
なお、「扉を開けなければ何時間もつか」「何℃を超えたら捨てるべきか」といった具体的な数値の基準は、確認した範囲では公的機関から示されていませんでした。庫内の温度が上がっている前提で、個別に判断することになります。
本記事では、個別の商品について食べられるかどうかを判断できません。農林水産省は「一度溶けた冷凍食品を再凍結しないようにしましょう。品質が損なわれている可能性があります」としています。状態に不安がある場合は、再冷凍せず、購入した販売店にご相談ください。
各社がそれぞれ自社のサービスとして温度帯を設定しているためです。2026年9月7日時点の公表値では、ヤマト運輸のクール宅急便は−15℃、佐川急便の飛脚クール便は−18℃以下でした。食品衛生法にもとづく規格基準は−15℃以下であり、どちらもこれを満たしています。温度帯は改定されることがあるため、実際のご利用時は各社の公式ページでご確認ください。
「★いくつ以上でなければ保存できない」という基準は、確認した範囲では公的機関・業界団体・メーカーのいずれも示していませんでした。示されているのは貯蔵期間の目安で、★★(−12℃以下)は約1か月、★★★(−18℃以下)は約3か月とされています。★★の冷凍室であれば、早めに使い切ることをおすすめします。
農林水産省は「家庭の冷凍庫は開閉が頻繁で温度変化が起きやすいので、2〜3ヶ月で使い切りましょう」としています。−18℃以下で温度変化を少なく保存した場合はおおむね8〜24か月品質が保たれるという記載もありますが、家庭の環境は同じではありません。家庭で凍らせたものについては、メーカーの案内で1〜4週間以内が目安とされています。
農林水産省は「解凍は『常温(自然解凍)で』と書かれた物以外は、電子レンジや流水などを使って素早く行いましょう」「解凍に時間がかかると、食中毒菌が増える可能性があります」としています。表示に「自然解凍」とある商品以外は、素早く解凍する方法をお選びください。
ここまでは受け取る側の視点で書きました。クール便に冷やす機能がない以上、届いたときの状態は、送る側の準備でほぼ決まります。予冷、梱包、発送のタイミング、配送日指定の運用は、そのままお店の評価になります。
食品をECで販売する事業者の方に向けては、別の記事を用意しています。
本記事は、公的機関および各社が公表している情報を整理したものです。個別の商品について、食べられるかどうか、安全かどうかを判断するものではありません。体調に関わることは、販売店・製造者、または医師にご相談ください。運送会社の温度帯・サイズ条件、および制度・基準は改定されることがあります。掲載内容は情報確認日時点のものです。運送会社の優劣を示すものではありません。
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